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ライブイベントの分類:イベンター主催ライブ
ライブイベントを企画・制作するのは、ライブハウスのスタッフだけではありません。 イベンターと呼ばれる、外部の個人や企業がイベントを企画することもあります。 彼ら「イベンター」が主催するライブイベントについて解説します。
著者 ムトウ企画:武藤
イベンター主催ライブとは
前回の記事のように、ブッキングライブはライブハウスのスタッフが企画していますが、ライブを企画するのはライブハウスのスタッフばかりではありません。 会場スタッフではない、イベント主催や内容企画だけを専門に行う個人や企業をイベンターといいます。 そして、このイベンターが主催するライブイベントをイベンター主催ライブといいます。
これを書いている私はライブハウススタッフではありません。ですが「コピバン道場!!」「アニソン道場!!」などのライブイベントを毎週のように主催しています。私はまさにイベンターであり、私の主催するライブはイベンター主催ライブに分類されます。
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イベンターの仕事内容
会場ライブハウスとの交渉
まず、イベンターはライブハウスを借りるために交渉をします。交渉が成立すると、日付や時間帯が決定し、イベンターはレンタル料金を会場側に支払います。
よく誤解されるのですが、ライブハウスはイベンターに会場や機材だけを貸してくれるだけではありません。受付、PA、ドリンク担当などのライブハウススタッフの人員とサービスも一緒に提供してくれます。ですから、イベンター企画ライブであっても、当日の業務はライブハウススタッフも一緒に担当しています。
条件やイベント内容の決定
また、イベンターは演奏時間、タイムテーブル、出演アーティスト、ノルマ(もしくは参加費)などの条件の設定も行います。これらはすべて、ブッキングライブでは「主催者」であるライブハウス側が設定していましたが、イベンター企画ライブでは「主催者」がイベンターであるため、イベンター自身がこれらを設定します。
たとえば、私はイベンターとして「この日はアニソンライブ」「この日は学生ライブ」というような決定もしますし、ホームページなどで出演アーティストの募集もします。また、演奏の持ち時間や参加費の条件も私が設定し、これでご出演いかがですか、とアーティスト側に提案をします。
イベンターは100%自由ではない
もちろん、ライブハウスを使う以上、ライブハウス側の機材や設備などの制約や規則があるため、イベンターが考えたことをすべて実現できるわけではありません。
例えば、会場をレンタルできる時間帯は自由に設定できるわけではなく、10-15時もしくは16-22時のどちらか、というようにあらかじめ指定されています。また、私の主催イベントには「客席に駄菓子を置いて無料で提供する」サービスがありますが、これも会場側と交渉した上で了承を得て行っています。
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出演アーティストの募集
また、イベンターの仕事は会場を押さえ条件を確定したらそれで終了ではありません。出演アーティストを集めるのも大変です。
ブッキングライブであれば主催者がライブハウス側であり、ライブハウスというものは形のある建物なので存在を認知されやすく、多くのアーティストが「XXにある●●というライブハウスに出たい」と名乗り出てくれます。
しかし、イベンターは自分で会場を持っているわけではないため、自分からアーティストに存在をアピールしなければ、企画しているイベントの存在すら知ってもらえません。そのうえで、アーティストにとって魅力的な企画内容や条件を提示できなければ、そもそも出演したいと思う人が集まらず、イベントが成立しません。
出演者との当日までのやりとり
アーティストの決定後も、アーティストからの質問や問い合わせに答える作業や、イベントに関するタイムテーブルや内容などの決定事項を速やかにアーティストに伝える細かい連絡作業があります。アーティストに信頼してもらうためにも、スピードと連絡の正確さが必要です。また、イベント独自のフライヤーや物品の提供がある場合は、それらを準備する作業もあります。
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ライブイベントの大半はブッキングライブかイベンター主催ライブ
ライブハウスで行われているライブイベントの多くは、ブッキングライブもしくは今回紹介したイベンター主催ライブです。それぞれのライブハウスの運営方針によって、ブッキングライブが中心のライブハウスもあれば、イベンター主催ライブが中心のライブハウスもあります。
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「音楽活動のヒント」管理人:武藤