ライブハウスでは、お客様が入場する前にリハーサルが行われます。
複数の出演者が演奏するライブイベントの場合も、すべての出演者がリハーサルを行います。
それでは、このリハーサルはどのような順番で行われるのでしょうか。
ライブハウスで行われるリハーサルの順番には、大きく分けて2つの方式があります。
それは、「逆リハ」と「順リハ」です。
今回の記事では、逆リハと準リハそれぞれの意味と、それが採用される理由やメリットを詳しく解説します。
なお、内容については、以下のYouTube動画でも解説しています。
逆リハの意味と理由・メリット
逆リハ(逆リハーサル)とは、本番の演奏と逆の順番でリハーサルを行うことです。
これは、ライブハウスにおいて最も主流なリハーサルの順番です。
例えば、ある日のライブに5組の演奏者が出演するとします。
このとき、演奏順は次のようになります。
リハーサルの演奏順:出演者5→出演者4→出演者3→出演者2→出演者1
本番の演奏順:出演者1→出演者2→出演者3→出演者4→出演者5
逆リハには、あるメリットが存在します。
それは、機材配置の変更時間を短縮できることです。
ライブでは、出演者によって使用する機材が異なります。
このため、ステージで演奏する出演者が変わるたびに、機材の配置を変更しなければなりません。
出演者が変わるのに伴う機材配置の変更は、標準的なバンドの場合、最低でも10分はかかります。
逆リハの場合、リハーサルを最後に行う出演者と、本番で最初に演奏する出演者は同じになります。
つまり、リハーサル終了から本番開始までに、ステージ上の機材配置を一切変える必要がありません。
これにより、セッティングを1回変更するぶんの時間を短縮できます。
順リハ(順リハーサル)
順リハ(順リハーサル)とは、本番の演奏と同じ順番でリハーサルを行うことです。
例えば、ある日のライブに5組の演奏者が出演するとします。
このとき、演奏順は次のようになります。
リハーサルの演奏順:出演者1→出演者2→出演者3→出演者4→出演者5
本番の演奏順:出演者1→出演者2→出演者3→出演者4→出演者5
順リハにも、メリットが存在します。
まず、出演者の拘束時間が短くなります。
逆リハを採用する場合、本番の演奏時間が遅いほど、リハーサルの時間は早くなります。
例えば、極端に長丁場のライブでは「朝8時にリハーサルをして午後9時に本番を迎える」などのケースが発生してしまいます。
このように、本番の演奏順が遅い出演者ほど、ライブハウスに長く拘束されてしまいます。
しかし、順リハの場合、本番の演奏順が早い出演者のリハーサルほど時間が早く、演奏順が遅い出演者のリハーサルほど遅くなります。
このため、すべての出演者がライブハウスに拘束される時間がほぼ同じになります。
また、会場スタッフは本番で行う機材配置の変更と全く同じ流れを、リハーサルであらかじめ体験しておくことができます。
このため、本番の機材配置変更もスムーズに進むようになります。
このように、順リハにもさまざまなメリットがあります。
ただし、逆リハに存在した、本番1番目に演奏する出演者の機材配置の変更時間を短縮できるというメリットが失われてしまいます。
そこで、次のような変則的な順リハが行われることもあります。
リハーサルの演奏順:出演者2→出演者3→出演者4→出演者5→出演者1
本番の演奏順:出演者1→出演者2→出演者3→出演者4→出演者5
これにより、順リハが持つメリットを維持しつつも、リハーサル終了から本番開始までに機材配置を変更する必要が無くなります。
つまり、順リハと逆リハのそれぞれが持つメリットを活かせるのです。
私が制作しているライブイベントでも、このようなリハーサルの順番を採用しています。
このように、ライブハウスで行われるリハーサルの順番には、「逆リハ」と「順リハ」の2種類があります。
そして、どちらにもそれが採用される明確な理由やメリットが存在します。
