ライブハウスに出演をする場合、お金が発生します。そのなかでも、最も代表的な仕組みとして「チケットノルマ制」が存在します。チケットノルマとは、ライブハウスから課せられるチケットの販売ノルマです。
ただし、ライブハウスに出演したことがない人には、分かりにくい仕組みです。そこで今回の記事では、ライブハウスのチケットノルマについて解説します。
なお、内容は下の動画でも詳しく解説しています。
もくじ
チケットノルマの仕組み
チケットノルマとは、「◯◯円のチケットを●●枚売ってください」という、チケット販売のノルマのことです。
これを決定するのは、ライブの主催者です。ライブハウス自体が主催しているライブなら、ライブハウスが決定しています。イベンターと呼ばれる、ライブハウス以外の個人や企業が主催するライブなら、その代表者が決めています。
チケットノルマは、「チケットの金額」×「枚数」という形で表現されます。例えば、チケットノルマが「1,500円」×「20枚」だとします。これは、「1,500円のチケットを20枚売ってください」という意味です。
それでは、チケットノルマを達成できなかった場合や、ノルマ以上の枚数を販売できた場合、どうなるのでしょうか。ここからは、それぞれのケースについて解説していきます。
チケットノルマを達成できなかった場合
チケットノルマを達成できなかった場合、出演者(バンドやミュージシャン)が不足分を負担することになります。
例えば、チケットノルマが「1,500円」×「20枚」だとします。このとき、出演者が「5枚」しか売ることができなかった場合を考えます。
このとき、出演者は不足分の金額である、
を、ライブの終了後に主催者へ支払う必要があります。
手持ちのお金がなく、支払いができないことがないよう、注意をしてください。
ちなみに、ほとんどのバンドやミュージシャンが、チケットノルマを達成できていません。
チケットノルマを達成できた場合
ノルマ以上にチケットが売れた場合、出演者はそのぶんを報酬として得られます。この報酬のことを、「バック」「チャージバック」「チケットバック」といいます。
例えば、チケットノルマが「1,500円」×「20枚」だとします。このとき、出演者が「30枚」売ることができた場合を考えます。
このとき、出演者は、
を、バックとして受け取ることができます。
なお、ライブハウスによっては「チャージバック率(バック率)」というものがあることもあります。チャージバック率とは、チケットノルマを上回った売り上げのうち、出演者が報酬として得られる割合のことです。
例えば、上の例では、チケットノルマを上回った売り上げの全額が出演者の報酬になっています。これは、チャージバック率が100%の場合です。
チャージバック率が50%の場合、上と同じ条件でも、出演者が得られる報酬は
となります。
このように、チケットノルマを達成できた場合は、チャージバック率に応じた報酬を出演者が受け取ることになります。
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なぜライブハウスにはチケットノルマがあるのか
それではなぜ、ライブハウスにはチケットノルマがあるのでしょうか。それは、チケットノルマがライブハウスの収入源だからです。
ライブハウスの営業には、たくさんの経費(=費用)がかかります。例えば、家賃や電気代、機材やメンテナンス、スタッフの人件費などがあります。
仮に、ライブハウスを1日営業するのに、10万円の経費がかかるとします。そして、出演する5組のバンドに、それぞれ1,500円×20枚のチケットノルマを課したとします。
すると、この日のライブハウスの利益は、次のようになります。
1,500円 × 20枚 × 5組 − 10万円 = 5万円
このように、ライブハウスがチケットノルマを課すのは、それが収入源だからです。
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チケットノルマがないライブハウスもある
一方で、チケットノルマのないライブハウスもあります。これには、次のようなものがあります。
参加費制のライブ
主催者によっては、チケットノルマ制ではなく「参加費制」を採用している場合もあります。
ライブへの出演者は、決められた「参加費」を支払います。例えば、「このライブに出演するなら参加費3万円をお支払いください」という形です。
これは、ノルマよりも、初心者には分かりやすいシステムです。このため、これを採用するライブハウスやイベンターも増えています。
また、参加費制のライブも、チケットが売れればチャージバックがもらえる場合がほとんどです。
チケットノルマも参加費もないライブ
チケットノルマも、参加費もないライブハウスやイベンターも存在します。つまり、出演者が一切金銭を負担することなく、ライブハウスに出演できます。
ただ、その数はあまり多くありません。出演までに厳しく審査をされたり、紹介でしか出演できなかったりすることも多いです。
また、チケットノルマがないからといって、「お客さんを呼ばなくていい」ということではありません。「ノルマを設定しなくてもお客さんを呼んでくれますよね」というのが、店側の本音です。
このため、集客ができないと二度と呼ばれなかったり、厳しい言葉を浴びせられることもあります。
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チケットノルマをめぐるトラブルに注意
チケットノルマをめぐり、ライブハウスやイベンターとトラブルになる出演者がいます。あなたがそうならないよう、注意すべきポイントを解説します。
出演決定前に必ずチケットノルマを確認する
チケットノルマの有無や枚数は、必ず出演決定前に確認してください。そうしないと、金銭のトラブルに繋がります。
なお、しっかりとしたライブハウスやイベンターの場合、ホームページなどに記載されていたり、事前に教えてくれたりするのが当たり前です。
ちなみに、出演が決定するまで教えてくれない主催者は、悪徳業者です。ライブを主催する資格がないので、付き合わないようにしましょう。
チケットノルマを悪用する業者の手口に注意
ライブハウスやイベンターの中には、出演決定後になっていきなりノルマを提示してきたり、増やしてきたりするものがあります。これは悪徳業者の手口ですので、支払う必要はありません。
例えば、「ノルマがないと言われていたのに、当日急に要求された」「チケットノルマは20枚と聞いていたのに、1週間前になって30枚に増やされた」などのケースです。
もちろん、記載や連絡を見落としていたなら、あなたに責任があります。しかし、そうでない場合は支払いを拒否して問題ありません。
なぜなら、これは悪徳業者の手口だからです。路上で「3000円で飲み放題ですよ」と客を誘い、会計時に3万円を要求するぼったくり居酒屋と変わりません。
したがって、もしこのような目にあったら、支払いを拒否してください。そして、周囲のバンドやミュージシャンにも注意を促してください。
あなたが毅然と対応することで、悪質なライブハウスやイベンターが稼げなくなります。そして、健全な主催者だけが残るようになります。
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チケットノルマに苦しまないための注意点
僕は音楽の仕事をしているので、よくミュージシャンと話す機会があります。このとき、「チケットノルマがきつい」という声をよく聞きます。
これは、音楽活動をしていた頃の僕もそうでした。当時は毎週のように、ライブをやっていました。自分のライブスケジュールを眺めては、「自分は頑張っている」という気分に浸っていました。
(当時の僕です)
しかし、現実は悲惨でした。チケットノルマを達成できず、ライブをするほどにお金が消えて行きました。
それを補うために、アルバイトの時間を増やす必要がありました。この結果、音楽に使える時間も減り、ますます集客も落ちていくという、悪循環に陥っていました。
あなたには、このような思いをして欲しくはありません。チケットノルマに苦しまないためには、どうすれば良いのでしょうか。
ノルマ達成の予想が立ってからライブする
チケットノルマに苦しまない方法は、とてもシンプルです。それは、ノルマを達成できる予想が立ってから、ライブをすることです。
例えば、チケットノルマが「1,500円×10枚」というライブがあるとします。このとき、「1,500円のチケットノルマが確実に10枚売れる」という状況を作ってから、出演すれば良いのです。そうでないのならば、出演しないことです。
ほとんどのバンドやミュージシャンが、チケットノルマを自己負担しています。このため、あなたも「赤字でもライブをすべきなのでは」と思うかもしれません。その気持ちはよく分かります。
しかし、99.9%以上のバンドやミュージシャンは、一生売れないまま終わります。彼らと同じ行動をしていたら、あなたも売れないのは当たり前です。
また、ライブハウスやイベンターは「赤字でもたくさんライブをやった方がいい」と言います。しかし、それは彼らがチケットノルマで収入を得ているからです。
したがって、達成できないノルマを背負ってはいけません。確実に集客できる予想が立ってから、ライブに出演するようにしてください。
ライブでファンを増やすのは1番効率が悪い
「集客の予想が立ってからライブをしましょう」と言うと、「ライブをしないとファンが増えないのではないか」と思うかもしれません。
しかし、ライブをしなくても、ファンを増やす手段はたくさんあります。むしろ、ライブでファンを増やすのは、最も効率が悪い方法です。
なぜなら、チケットノルマのあるライブイベントは、ほとんどがガラガラだからです。これは、先ほども書いたように、ほとんどの人がノルマを自己負担していることが原因です。
このため、高い確率でノルマを達成できていないミュージシャンと共演させられます。実際、「5組のバンドが出演したのに観客が0人」というような、悲惨な光景も珍しくありません。特をするのは、チケットノルマで稼ぐライブハウスやイベンターだけです。
いくら質の高いライブをしても、人がいなければ誰にも見てもらえません。このことを考えると、「チケットノルマのあるライブでファンを増やす」という考え方が、いかに効率が悪いか分かると思います。
もちろん、あなたが数百人の動員があるライブに出演できるなら話は別です。しかし、ほとんどの人はそうではありません。
ファンを増やす方法は、他にもたくさんあります。中でも、以下のようなものがオススメです。
・路上ライブをする
・YouTubeに演奏を投稿する
・音楽好きに向けたブログを書く
これらを行うことで、確実にファンが増えていきます。特に、インターネットを使えば、全国規模でファンを増やせます。
こうしてファンが増えてから、ライブをするようにしてください。チケットノルマに苦しむどころか、収入を得ることすらできるようになります。
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ライブをするほどノルマを達成しにくくなる
ライブの本数を増やすほど、チケットノルマを達成しにくくなります。これには、2つの理由があります。
1つは、毎回のライブに来るお客さんの数が分散することです。当然、ライブの本数が多いほど、毎回の集客は難しくなります。
もう1つは、「いつでもやっている」と思われることです。「今回のライブに行かなくてもまた次がある」と思われてしまうと、集客が難しくなります。
人気のバンドやアーティストは、毎週のようにライブはしません。だからこそ、ファンは「今回を逃すと次はいつになるか分からない」と考えます。だからこそ、チケットが売れていきます。
このように、ライブの回数が多いほど、チケットノルマは達成しにくくなります。そして、赤字に苦しめられることになります。
チケットノルマのある出演依頼を真に受けない
ノルマをきついと感じる原因の1つに、ライブへの出演依頼を受けすぎてしまうことがあります。これにより、本数がどんどん増えていき、チケットノルマの負担が厳しくなります。
音楽活動をしていると、ライブへの出演を誘われることがあります。例えば、一度出演したライブハウスで「次もまた出演してくれませんか」と誘われます。あるいは、SNSなどで「うちのイベントに出演してください」という依頼が来ることがあります。
このとき、多くのミュージシャンは「自分の音楽が評価された」と喜びます。また、「せっかく誘ってくださったのだから出演しよう」と考えます。
しかし、これは大きな勘違いです。あなたがライブ出演を誘われるのは、彼らがチケットノルマで収入を得るためです。あなたの音楽が優れているからではありません。
主催者があなたをライブに誘うのは、アパレルの店員が服を薦めるのと同じです。つまり、単なる営業活動です。
特に、インターネット上では「音源を聴いてすばらしい歌声だと思いました」などと書かれた出演依頼が届くことがあります。しかし、これはコピペの文章です。彼らは宛名だけを変えて、同じ文面の「出演依頼メール」を1日何百通もバラ撒いているのです。
そもそも、本当に音楽性が評価されているのなら、チケットノルマなど要求されません。むしろ、「ギャラを払うので出演してくれませんか」と言われるはずです。
なので、出演を誘われても喜ばないでください。そこに出演する価値があるのか、冷静に判断してください。
もちろん、出演依頼は断っても良いです。「申し訳ない」と思う必要もありません。また、「断ったら二度と誘われない」ということも絶対にありません。
なお、レベルの低いライブハウスやイベンターには、あなたが断りにくいような誘い方をするものもあります。これらは悪質であるため、完全に連絡を絶つようにしてください。
このように、ライブハウスやイベンターからの出演依頼は、彼らが収入を得るためのものです。あなたの音楽性が評価されたわけではありません。よって、堂々とお断りしてください。
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まとめ:ライブハウスやバンドのチケットノルマ制
今回は、ライブハウスのチケットノルマ制について、解説してきました。
チケットノルマは、バンドやミュージシャンに課せられる、チケット販売のノルマのことです。基本的には、「チケットの金額」×「枚数」という形で表現されることが多いです。
ライブへの出演を決める前に、必ずノルマの有無や枚数を確認してください。また、達成できる見込みができてから、ライブをするようにしてください。
ファンを増やせば、集客ができるようになります。そして、チケットノルマに苦しむどころか、ライブで収入を得られるようになります。
ファンを増やし、チケットノルマを負担せずにプロミュージシャンになる方法は、以下の「無料動画レッスン」ですべて解説しています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
