ライブでステージに上がるとき、緊張してしまうという人は多いです。特に初ライブや、ライブ経験が少ない頃はなおさらだと思います。
僕は、バンドでボーカルとギターを担当していました。そして、高校生のときに初めて人前でライブをしました。
しかし、緊張のあまり両脚が震えてしまったことおを覚えています。
そこで今回は、自分自身のライブ経験をもとに、緊張への対処法を教えたいと思います。
私はボーカルとギターを担当していましたが、ボーカルとギターに限らず、ベース・ドラム・キーボードなど、ありとあらゆるパートに応用できる方法を紹介しています。
*この記事の内容を、以下の動画でも話しました。中央の再生ボタンを押してご覧ください。
もくじ
「緊張すること=悪いこと」という考え方をやめる
「緊張をしない方法を教えてほしい」と聞いてくる人の意識には、「緊張することは悪いことだ」という考え方があります。しかし、緊張することは、必ずしも悪いことではありません。
「緊張」という言葉を辞書で調べてみると、「心が引き締まること」という風に解説されています。
「心が引き締まる」と聞くと、ちょっと良いことのように聞こえてこないでしょうか。
実際のところ人間は、緊張をすると集中力が高まり、目の前の物事がうまくいきやすくなるという性質も持っているのです。
逆に、あくびが出てくるほどまったく緊張しない場合、良いライブはできません。例えば、気の緩みから演奏をミスしたり、お客さんに失礼な態度を取ったりしてしまいます。
このように、適度に緊張をするということは、とても良いことなのです。
一流と呼ばれるミュージシャン・バンドであっても、ライブ前は緊張をします。また、これは音楽の世界に限らず、大事な試合を控えたスポーツ選手なども同じです。
このため、まずは「緊張することは悪いことだ」という考え方を捨てて欲しいのです。
そして、ライブの前に緊張してきたとしても、
×「あー、緊張してきた。こりゃ今日も上手くいかないな…」
○「あー、心が引き締まってきた。こりゃ集中も出来て、めっちゃいいライブになるわ!」
と発想するようにしてください。
何だそんなことか、と思うかもしれませんが、これだけでもポジティブな気持ちでライブに臨めます。
スポーツ選手などは、試合前の緊張感について「このゾクゾク感がたまらない」と言う人もいます。
あなたも、緊張する自分を嫌がるのではなく、楽しむという発想を持ってください。
出来るだけ練習して不安を解消する
ライブ前の緊張は、「うまく演奏できるかどうか」という不安から来ることが多いです。この不安を解消するには、ひたすら練習を繰り返すしかありません。
例えば、「このフレーズがうまく弾けるか不安だ」と思うのなら、10回中10回弾けるようになるまで練習するしかありません。
あるいは、「ギターの弦が切れたらどうしよう」と思うのなら、素早く弦を張りかえる練習をしておくしかありません。
そして、練習によって実力を高めておくことで、緊張した際に発揮できる実力も高くなります。
例えば、ライブ本番では緊張して、練習の半分の実力しか発揮できないとします。
このとき、練習での実力が60であれば、本番での実力は30になります。しかし、練習での実力が100であれば、本番での実力は50にもなります。
このように、納得のいくライブができなくても、練習によって実力を上げれば、お客さんは満足してくれるものです。
会場を事前に見学して、スタッフの人と顔見知りになっておく
ライブの緊張を和らげるために、当日までにライブハウスをあらかじめ見学しておくことをおすすめします。
見学をしたい場合は、会場に電話やメールをするだけです。ほとんどのライブハウスが、無料で見学をさせてくれます。
見学をすることで、次のようなメリットがあります。
・当日、道に迷う心配がなくなる
・ライブをする自分のイメージを持てる
・スタッフと顔見知りになっておくことができる
私は2011年から240本を超えるライブを主催していますが、会場に来る際に迷ってしまうアーティストさんは多いです。
ただでさえライブ前で緊張しているのに、道に迷ってしまうとなると、さらに緊張してしまいます。しかし、あらかじめ見学をしておけば、このような心配もなくなります。
そして、実際の会場とステージを生で見ておくことがとても大切です。これにより、「どんな場所なんだろう」という不安を解消できるようになります。
また、当日ライブをする自分を具体的にイメージできるようになります。
さらに、見学をするときには、もうひとつやるべきことがあります。それは、ライブハウスのスタッフさんと顔見知りになっておくことです。
ライブハウスで働いているスタッフさんの数は、さほど多くありません。1つの持ち場(ドリンクカウンターや音響など)につき、多くても2人くらいです。
このため、見学の際に会ったスタッフさんとは、当日もまた顔を合わせることになる可能性が高いです。
当日、いきなり初対面となると緊張するものです。しかし、「会場に行けば知っている人がいる」というだけで、とても安心できるものです。
ぜひ、ライブハウスは出演する前に見学しておくようにしましょう。
緊張時に起こるであろうミスに対して、あらかじめ準備をする
ライブでは、緊張しすぎることによって、練習では犯さなかったミスを犯してしまうことが多いです。
ただ、これらのミスは、ライブ前の準備によって回避できる場合もたくさんあります。
まだライブをしたことが無い人のために言っておくと、ライブで過度に緊張した時というのは、「必要なことを忘れてしまう」という場合が多いです。
例えば、次のようなことが起こります。
・歌詞を忘れてしまう
・曲順を忘れてしまう
・MC(トーク)で話すことを忘れてしまう
これらへの対策として、歌詞や曲順、MCのネタが書かれた紙を、足元に置くという対策が可能です。
また、パフォーマンス面でも、緊張しすぎると次のようなミスをしやすくなります。
・MCの声が、ぼそぼそと小さくなってしまう
・演奏のテンポ(ピッチ)が早くなってしまう
これに対しても、「大きな声で!」「ゆっくり!」などと書いた紙を置いておくと良いです。
これにより、緊張によって頭が真っ白になっていたとしても、自分を取り戻すことができるようになります。
紹介した以外にも、緊張したときに犯してしまうミスには、人それぞれさまざまなものがあります。こればかりは、あなた自身がライブの経験を重ねていかなければ分かりません。
ライブをするごとに、自分がしてしまったミスをメモしておくようにしましょう。そして、事前の対策によってそれを防ぐことができないかを考えるようにしましょう。
ライブ当日、ステージに上がる前に積極的に他人と会話する
私があるライブハウスに出演したあるとき、共演者さんととても気が合い、会話がとても盛り上がりました。
このとき、自分の緊張がみるみる和らいでいくのを感じました。
この経験から、ライブをする前に他人と積極的に会話をすることで、緊張を軽減できることを発見しました。
例えば、次のような人と話すことができます。
・会場への出発前に家族と話す
・ライブ前に友達や恋人と会う用事を入れる
・バンドメンバーと合流して話す
・リハーサル時に共演者やライブハウスのスタッフと話す
・本番演奏前に客席の知り合いやファンと話す
誰とも話さないでいると、どんどん緊張してしまいます。しかし、他人と会話をするうちに、緊張がほぐれてきます。
そして、出来ればポジティブな言葉をかけてくれる人と話すようにしましょう。
例えば、「今日も失敗するんじゃないの?」「ギター、ちゃんと弾けるの?」などと不安を煽ってくるような人もいます。
このような人とは、ライブ前にはなるべく話さないようにしましょう。
逆に、「絶対うまくいく」「今日は頑張ってね」など前向きな言葉をかけてもらうことができれば、ライブに向けた緊張も軽減されていきます。
楽しそうにしているお客さんを探し、視線を向ける
これは、一度でもライブをしたことがある人なら分かってくれると思うのですが…
聴いてくれるお客さんの反応によって、リラックスして演奏できるかどうかが変わってきますよね。
例えば、聴いてくれるお客さんが無表情でつまらなそうだとします。
この場合、楽しいライブができていないのではないかと不安になります。
逆に、お客さんがノリノリで聴いてくれたら、リラックスして演奏できます。
お客さんには、つまらなそうにしている人と、楽しそうにしている人の両方がいるはずです。
そこで、ライブが始まったらすぐに、楽しそうに聴いているお客さんを探してください。
そして、緊張が高まってきたら、楽しそうにしているお客さんに視線を向けるようにしてください。
ちなみに、楽しそうにしているお客さんがどれくらいいるかは、あなたが出演するライブの種類によって異なります。
例えば、部活やサークルのライブなど、あなたの知り合いが多いライブはお客さんも盛り上がってくれる可能性が高いです。
逆に、全くあなたのことを知らない人の前でするライブは、お客さんの反応があまりないことが多いです。
客席に見知らぬ人が多いライブは、過酷な環境と言えます。
ただ、そんな中でも楽しそうに聴いてくれる人が1人はいるはずです。
そういう人を探し出して、過度に緊張が高まったらそちらに視線を向けるようにしましょう。
成功体験を積む
私が人生で初めてライブをしたときは、緊張しすぎて頭が真っ白になっていました。今でも、ほとんどライブをしている時の記憶がないほどです。
しかし、共演していたベテランのアーティストは、自信に満ちた表情で演奏をしていました。
これを見て、「すげえなあ」と思ったことを覚えています。
今思えば、彼の自信は「成功体験を積んでいる」というところから来ていたのだと思います。
それからも、私はしばらくライブ活動を続けました。それでも、演奏しているとき「お客さんは本当に楽しんでくれているのだろうか?」と不安で仕方がありませんでした。
しかし、ライブ後に知らないお客さんが声をかけてくれたり、アンケートで高い評価をしてくれたり…そんな体験を積み重ねるうちに、その不安な気持ちが消えていきました。
こうして、いつしか過度に緊張せず、自信を持ってステージに上がることができるようになりました。「今までもうまくいったから、今回もうまくいくだろう」と思えるようになったのです。
「お客さんから評価される」という成功体験を積むことによって、みるみる自分に自信を持てるようになります。そして、過度に緊張することなくライブで演奏できるようになります。
初ライブや、ライブ活動を始めたばかりのときは、この成功体験がありません。しかし、これはライブの経験がないため、仕方のないことだと言えます。
このため、自信が持てず緊張してしまう自分のことを責めないでください。そして、緊張してしまったとしても、「この先成功体験を積めば自信が持てるようになるから頑張ろう」と発想を切り替えるようにしてください。
まとめ
ここまで述べたように、ライブでの緊張を和らげるには、次のような方法があります。
・緊張を悪いことだと思わない
・練習によって不安を解消する
・あらかじめ会場を見学しておく
・緊張時に起こるミスに対してあらかじめ対策をする
・ステージに上がる前に積極的に他人と話す
・成功体験を積む
ぜひ今日から、一つでも活動に取り入れてみてください。
あなたが「適度な緊張」と共に、自信を持って最高のライブができる日が来ることを祈っています。
応援してます!
