バンドやアーティストとして活動を始めるとき、必ず考えなければいけないことがあります。それは、「名前(ネーム)」です。
名前は、アーティストのイメージや、興味を持ってもらいやすさなどを左右する、とても重要な要素です。
ただ、名前の付け方・考え方は難しいですよね。僕も活動をしていた頃は、なかなか名前が決まらないと悩んでいました。
この記事では、バンド・アーティスト名・ユニット名・グループ名の決め方について解説していきます。
記事の内容を動画でも話しました。中央の再生ボタンを押してご覧ください。
もくじ
バンド名・アーティスト名(ネーム)の決め方・考え方の由来例
僕はライブ制作やプロデュースの仕事をしているので、多くのバンドやアーティストとお会いしてきました。
このなかで、バンドやアーティスト名の由来を聞くことが多くありました。
ほとんどの人が、以下の3つを由来とした名前をつけていました。
本人やメンバーの名前
特にソロアーティストは、本名やそれを少し変えた名前で活動する人がほとんどです。
「苗字+名前」、または「下の名前」をアーティスト名にしている人が多いです。
また、バンドやグループでも、メンバーの名前を由来とする場合があります。
ただし、人の名前というのはとても被りやすいものです。これは、インターネットで自分の名前を検索してみると分かります。
おそらく、よほど珍しい名前でない限り、全く関係ない人物がヒットすると思います。
この点にも注意した付け方で、名前を考えてみてください。
好きな言葉
私たちは日々、さまざまな言葉に接しています。例えば、本を読む、映画を見る、他人と会話するなどの場面でです。
このなかで、あなたには「好きな言葉」はあるでしょうか。
例えば、誰かの名言かもしれません。あるいは、何となく響きが好きな言葉でも良いです。
僕は英語の授業で、新しい単語を知り「この言葉の響きってカッコいいなあ」と思うことがよくありました。
そして、そこからバンドやアーティストとしての名前を考えることもありました。
まずは、あなたの好きな言葉を、思いつく限り書き出してみましょう。その中から1つ選んだり、複数のものを組み合わせたりすると、良い名前が思いつきます。
バンドやグループなら、全員でそれを持ち寄って話し合う考え方が有効です。
音楽を始めた理由や、結成のエピソード
バンドやアーティストが名前を決めるときは、次のような記憶を辿ると良いです。
・音楽を始めたキッカケ
・音楽で表現したいこと
・結成したときのエピソード
これらの中からあらゆる単語を連想し、それを名前にします。
場合によっては、ひらがなにしたり、英語にしたりしてみましょう。また、複数の候補を組み合わせてもOKです。
あるいは、辞書で同じような意味を持つ単語を探してみるのも有効です。
この方法を使うメリットは、名前がストーリー性を持つようになることです。
バンドやアーティストとして活動をしていると、名前の由来を聞かれることが多くあります。
このときに、次のように語れるようになります。
・「名前の由来は、僕たちが音楽を通じて伝えたい・・・という感情です」
・「結成したときに・・・というエピソードがあったので、この名前にしました」
・「このバンドが結成した場所が、●●●●だったので、それをそのまま名前にしました」
人間の脳は、「名前」よりも「ストーリー」を記憶しやすい性質を持っています。
例えば、歴史の授業に出てくる人物の名前だけを覚えるのは大変です。しかし、「その人は何をしたのか」というストーリーを理解すると、とても覚えやすくなります。
ストーリーと一緒に記憶してもらうことで、名前も印象に残りやすくなります。
また、名前に込められたエピソードや思いに共感して、ファンになってくれる人もいます。
バンド名やアーティスト名(ネーム)は検索で見つけてもらえる付け方を
バンドやアーティストは、インターネットの検索で見つけてもらえる名前をつけるべきです。
活動を進めていくと、次のような人から名前を検索されるようになります。
・あなたのライブを見て、興味を持ってくれた人
・あなたのことを知人から、「●●っていうバンドが良いよ」と評判を聞いた人
・あなたの名前を、フライヤーやライブハウスの看板で見て、気になった人
このとき、あなたのページをしっかりと見つけてもらう必要があります。したがって、あなたのページが1番上に表示されることが理想です。
名前を検索してくれる人は、バンド・アーティストに対して強く興味を持ってくれている人です。
しかし、全く関係のないページがたくさん表示され、見つけてもらえなければどうでしょうか。
これでは、せっかくファンになってくれたかもしれない人を逃してしまいます。
名前の候補が決まったら、GoogleやYahoo!、YouTube、Twitterなどで検索してみましょう。
そして、同じ名前の人が出てこなければ大丈夫です。
逆に、同じ名前の人がいる場合、あなたのページを1番上に表示させるのは難しいです。この場合は、別の名前を決めるようにしましょう。
バンド名・アーティスト名(ネーム)における漢字/平仮名/英語の違い
バンドやアーティスト名の表記には、「漢字」「平仮名」「英語」の主に3つが使われます。
同じ単語であっても、表記の方法によって、与える印象は全く違います。
例えば、「僕」という単語があります。
しかし、これは「僕」「ぼく」「ボク」「Boku」という表記をすることができます。これら全てに、違う雰囲気がありますよね。
それぞれの表記が持つ特徴を理解することで、名前を決めやすくなります。
また、「漢字と平仮名」など、お互いを組み合わせた名前を決めることもできます。
漢字
漢字の与える印象や特徴をまとめると、次のようになります。
・知的
・堅い
・まじめ
・本格的
また、バンドやアーティストの名前としては、次のような特徴があります。
・ソロアーティストの場合、印象に残りにくい
・バンドの場合、目立ちやすい
・名前によっては読みにくい
ソロアーティストは、自分の名前をそのまま漢字表記にして活動している人が多いです。このため、あまり印象に残りにくいです。
逆に、バンドやグループの場合、漢字だけの名前にしている人は少ないです。したがって、目立ちやすくなります。
また、使用する漢字によっては読みにくくなるため、注意が必要です。
ひらがな
ひらがなが与える印象をまとめると、次のようになります。
・幼い
・かわいい
・やわらかい
・親しみやすい
そして、名前を覚えてもらうにあたっても、ひらがなは有利です。
例えば、政治家の選挙ポスターを見ていると、名前の一部が平仮名で表記されているのを見たことがないでしょうか。
例えば、「田中太郎」という政治家がいるとします。もちろん、これは一例なので、もっと覚えにくい名前を想像してください。
この場合、「たなか太郎」や、「田中たろう」などと表記されます。
なぜこのようなことを行うのかというと、平仮名の方が覚えやすいからです。
選挙で投票してもらうには、名前を覚えてもらう必要があります。このため、あえてひらがなで名前を表記しているのです。
英語
英語表記には、次のような特徴があります。
・漢字とひらがなの中間的なイメージ
・バンドの場合、最も一般的であるため、目立ちにくい
・名前によっては読みにくい
英語は、日本人にとっては母国語ではありません。
このため、難しい単語は読みにくいです。そして、覚えてもらうのも難しいです。かといって、馴染みのある単語はすでに他の人が使っている場合が多いです。
また、検索をかけた際もその英単語がヒットしやすく、見つけてもらいにくいというデメリットもあります。
これらを踏まえた上で、名前を付ける際の参考にしてみてください。
バンドやアーティストの名前(ネーム)が略してもらいやすいかを考える
バンドやアーティストの名前は、略して呼ばれることが多いです。
例えば、次のようになります。
・Mr.Children → ミスチル
・BUMP OF CHICKEN → バンプ
・ASIAN KUNG-FU GENERATION → アジカン
あなたの考えているバンドやアーティスト名は、略しやすいものでしょうか。また、その略称は発音しやすいものでしょうか。
名前が長く、略すのが難しいと、覚えてもらいにくくなります。
名前を決めるときは、ぜひこの点も意識してみてください。
バンド名・アーティスト名(ネーム)と音楽性を合わせるべきか?
多くのバンドやアーティストは、自分たちの見た目や音楽性に合った名前をつけようとします。
例えば、ガールズバンドなら可愛い名前をつけます。本格派のバンドなら、難しい単語や漢字を多用します。
もちろん、これはイメージが伝わりやすくなるため、正解です。
しかし、名前と見た目や音楽性を、あえて反対のものにするという戦略も有効です。
人は、意外性のあるものに惹かれます。
見た目や音楽性と、名前の間にギャップが大きいほど、相手の興味を惹きやすくなります。
例えば、僕が制作してきたライブに出演してくださったバンドやアーティストさんには、次のような事例があります。
・ソロアーティストなのに、「THE XXズ」というバンドのような名前
・見た目は可愛らしいガールズバンドなのに、バンド名が難しい漢字8文字
初めて見るお客さんは、パンフレットに書かれていた名前と見た目のギャップに「あれっ?」と感じます。そして、一気に興味を引かれます。
もちろん、ファンになってもらえるかどうかは、作品や演奏そのものが大事です。
しかし、興味を持ってもらえなければ、そもそも音楽を聴いてもらうこともできません。
名前に意外性を持たせ、興味を持ってもらうキッカケにすることは、極めて有効な戦略です。
バンド名やアーティスト名の付け方は後からも変えられる
理想を言えば、一度決めた名前で活動し続けるのが良いです。なぜなら、ファンはメンバーや音楽だけではなく、名前に対しても愛着を持つからです。
ただし、多くのバンドやアーティストが、一度は名前を変えた経験を持っています。
これには、次のような理由があります。
・自分では良い名前だと思っても、お客さんの評判が良くない
・名前や音楽性が似ている、有名なバンドがいることが分かった
・活動する間に音楽性が変化して、名前がしっくり来なくなった
このようなことは、実際に活動をしてみないと分からないものです。
良い名前を決めようとする姿勢は、とても大切です。しかし、それと同時に「後から変えれば良い」と気楽に考えることも重要です。
バンド名やアーティスト名(ネーム)の決め方:まとめ
ここまで、バンド名・アーティスト名(ネーム)の決め方・考え方・付け方を紹介してきました。
まとめると、次のようになります。
・「名前」「好きな言葉」「伝えたいこと」「エピソード」を由来とする
・「検索」で見つけてもらえる名前にする
・表記方法によって与える印象の違いや、特徴を理解する
・略称をつけやすく、言いやすいものにする
・「後から変えてもいい」という気持ちも大事
バンドやアーティストの名前を決める作業は、とても頭を使いますよね。
この記事が、ぜひあなたの参考になれば嬉しいです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
