楽器を弾きながら歌うことを、「弾き語り」と言います。
僕も高校時代に、初めてピアノの弾き語りに挑戦しました。しかし、なかなか上手くいきませんでした。
そこで、先輩や音楽仲間からアドバイスをたくさんもらいました。これによって、何とか弾けるようになりました。
この記事では、ピアノ弾き語りのコツや、初心者のための練習方法を紹介したいと思います。
もくじ
ピアノ弾き語りに必要なもの
まずは、ピアノの弾き語りをする際に必要なものを紹介します。
ピアノまたはキーボード
当然ですが、ピアノの弾き語りをするためには、ピアノが必要です。
ただし、キーボードでも代用できます。
まずは、いずれかを用意するようにしましょう。
マイクとマイクスタンド
趣味として自宅で演奏したい場合、マイクは特に必要ありません。
ただ、ライブに出演する場合、広い会場の観客に声を届ける必要があります。このためには、マイクが必要です。
多くの会場には、マイクが常設されています。このため、必ずしもご自身で所有する必要はありません。
しかし、本番に向けた練習のために、自分のものを購入しておくことを強くオススメします。
弾き語りをする場合は、両手でピアノを弾くことになります。このため、自分でマイクを持つことはできません。
したがって、マイクを口元に固定するための機材を購入する必要があります。これを、「マイクスタンド」といいます。
弾き語りに利用されるのは、「ブームスタンド」と呼ばれる種類のものです。ぜひ、楽器店やインターネットで探してみてください。
楽曲
まずは、どの曲を演奏するかを決める必要があります。
例えば、「好きなミュージシャンの曲を弾き語りしてみたい」という場合もあります。あるいは、自分で作った曲を演奏したい場合もあると思います。
楽譜
ピアノを弾き語りするためには、楽譜が必要です。
有名な曲を、ピアノ弾き語りで演奏してみたいという人は多いです。このため、あらゆるアーティストが、自身の楽曲を弾き語りするための楽譜を販売しています。
これらは、書店や楽器屋で見つけることができます。あるいは、「ピアノ 弾き語り アーティスト名」などと検索をすることでも、見つけることができます。
弾き語り練習における4つのステップ
弾き語りを練習する場合、いきなりピアノと歌を同時に弾こうとする人が多いです。これは、僕もそうでした。
しかし、2つのことを同時に行うのは大変です。よって、なかなか上手くいきません。実際のところ、ここで挫折をしてしまう人も多いです。
そこで、練習を細かい4つのステップまで分けます。そして、1つずつ段階的にこなしていくようにします。
時間はかかりますが、僕はこれでピアノの弾き語りができるようになりました。
ピアノと歌を片方ずつ完璧になるまで練習する
まずは、歌とピアノを同時に弾くのをやめてください。そして、まずは片方ずつ、それぞれが完璧になるまで練習してください。
ピアノは、完璧に楽譜を暗記しましょう。歌も、歌詞や音程を完璧に覚えるようにしましょう。
そして、それぞれの表現力についても、納得がいくまで練習を重ねてください。
この先、ピアノと歌を同時に弾く練習をします。その際、両者のリズムを合わせることに意識を奪われます。
このため、「次の音は何だっけ…?」「歌詞は何だっけ…?」などという部分に意識を取られている場合ではありません。
また、強弱などの表現力についても、無意識に弾けるレベルまで仕上げてください。
ピアノと歌のそれぞれを、まずはここまで極めてください。だからこそ、両方を同時に弾くことだけに集中して練習することが可能になります。
ピアノの上に、鼻歌を乗せる
ピアノが完璧に弾けるようになっても、いきなり歌と合わせる練習はしません。
まずは、鼻歌を歌いながらピアノを弾くようにします。これには、理由があります。
弾き語りで難しいのは、ピアノと歌のリズムを合わせることです。まずは、ここに集中する必要があります。
いきなりしっかりと歌おうとすると、「歌詞」や「発声」にも気を取られることになります。
ピアノが歌につられたり、その逆になったりしないようになるまで、練習を繰り返しましょう。
鼻歌で歌えるようになったら、「ラ」で歌う
鼻歌で弾き語りができるようになったら、いよいよ歌うようにします。
ただし、まだ歌詞を歌うことはしません。これをしてしまうと、正しい歌詞で歌うことに意識を奪われてしまうからです。
まずは、弾きながらでもきちんと発声をすることだけに集中します。このために、歌詞をすべて「ラ」にして歌うようにしてください。
「ラ」で歌えたら、ようやく歌詞を歌う
ここまでを完璧に仕上げたら、ようやく実際に歌詞をつけて歌うようにします。
このようなステップを踏むことで、意識しなければできなかったことを、1つずつ無意識にこなせるようになります。
練習では気づかない改善点に気づくコツ
上記のステップを順番にクリアしていくと、弾き語りができるようになります。そうしたら、必ず自分の演奏を録音して聴いてみましょう。
確かに、練習中にも自分の演奏は耳に入ります。
このため、わざわざ録音する必要はないと思うかもしれません。過去の僕も、このような考え方でした。
しかし、自分で演奏している際は、演奏をすることに集中しています。
このとき、あなたは演奏だけを落ち着いて聴いているわけであはりません。一方で、お客さんはあなたの演奏だけを集中して聞くことになります。
したがって、録音をしなければ、お客さんと同じ状態で演奏を聴くことはできません。
自分の演奏を録音しないということは、味見をせずに料理を振る舞うのと同じだと考えてください。
僕が初めて録音をしたのは、かなり弾き語りが上達したと自負していた頃でした。
しかし、録音してみると「ここのタイミングがずれている」「ここで歌のリズムがピアノにつられる」などと、たくさんの改善すべき点に気づくことができました。
もしこれに気がつかないまま、お客さんの前で演奏をしていたらと思うと、怖いなと思いました。
この経験を通じて、僕は必ず練習を録音するようになりました。そして、それを再生することで、自分の技術をチェックするようになりました。
以前の僕は、専用のICレコーダーを使っていました。しかし、現在ではスマートフォンでも、かなり良い音質で録音ができるようになりました。
これらを活用して、ご自身の演奏を録音するようにしてください。
ライブで初めて気づく落とし穴と、それを回避するコツ
弾き語りライブには、特有の落とし穴が存在します。それは、マイクを上手く使えないというものです。
自宅で弾き語りの練習をするとき、マイクは使わない人が多いと思います。
これに対して、ライブでは固定されたマイクに向かって歌うことになります。
練習でマイクを使っていないと、これが上手くできません。具体的には、演奏中に顔の位置が動いてしまい、マイクに声を拾ってもらうことができなくなるのです。
弾き語りでは、ピアノを演奏する両手を左右に動かします。すると、顔もつられて動いてしまう人が多いです。
マイクの位置は、常に固定されています。このため、顔が動くと口からマイクが離れてしまいます。
この原因は、手元を見て演奏していることです。目線がピアノを弾く手を追うと、顔もつられて動いてしまうのです。
これを防ぐには、手元を見ないでピアノを弾く練習が必要です。
手元を見ないで演奏するのは、とても難しいことです。僕も、これにはとても苦労したことを覚えています。
しかし、練習を重ねれば必ずできるようになります。
僕が指導させていただいている生徒さんは、目をつぶってピアノを弾く練習をしたそうです。
鍵盤の位置を感覚的に覚え込むことで、手元を見なくて弾けるようになります。
弾き語りの緊張を押さえるコツ
ライブでは、緊張しすぎてしまう人は多いです。これを防ぐためには、譜面台に楽譜を置くことが有効です。
先ほども書いたように、楽譜は本番までに暗記すべきです。しかし、過度に緊張をすると、頭が真っ白になってしまうことがあります。
このような事態を考えて、あえて楽譜を置いておきます。
すると、「いざとなれば楽譜を見れば良い」という心の余裕が生まれます。そして、過度な緊張を抑制することができます。
ぜひ、試してみてください。
ピアノ弾き語りで観客を飽きさせないためのコツ
大人数のバンドが演奏する場合、さまざまな楽器が登場します。このため、観客はさまざまな音色を楽しむことができます。
しかし、弾き語りは歌と楽器のみというシンプルな構成です。このため、どの曲も似通った印象を与えがちです。
このことに気づいた僕は、「どうしたらお客さんを飽きさせないライブができるだろうか」と試行錯誤を繰り返しました。
この結果、弾き語りでも飽きさせないためのコツを見つけました。ここからは、それを紹介したいと思います。
あえて歌わない曲を演奏する
ピアノの弾き語りをする場合、ピアノと歌の両方を演奏することになります。
しかし、あえて歌わない曲を作ると良いです。歌わないということは、ピアノだけを弾くということです。
僕は、高校時代からライブ活動をしていました。あるとき、「あえて歌わない曲を作ったら、お客さんにとって新鮮なのではないか」ということを思いつきました。
そして、次のライブからこれを行ったところ、とても好評でした。
普段は歌の陰に隠れがちな、ピアノの魅力だけを前面に押し出すことができます。そして、それを楽しんでもらうことができます。
キーボードを使う場合のテクニック
多くのライブハウスには、ピアノが設置されていません。このため、キーボードを使って弾き語りをすることがほとんどです。
キーボードを使う場合、ボタン1つで音色を変えることができます。
ピアノの音色はもちろん、チェンバロやヴァイオリンのような音を出すこともできます。これにより、かなり印象を変えることができます。
もちろん、何でも良いからたくさんの音色を使えば良いというものではありません。練習段階から、曲と相性が良い音色を探すようにしてください。
また、曲の途中から音色を変えることによっても、新鮮な印象を与えることができます。
ピアノ弾き語りのコツと、初心者のための練習方法:まとめ
ここまで、ピアノ弾き語りのコツと、初心者のための練習方法を紹介してきました。
まとめると、次のようになります。
・ピアノの弾き語りには、ピアノ、マイク、楽曲、楽譜が必要
・練習の際は、いきなりピアノと歌を同時に弾かない
・練習を録音すると、改善点が見つかる
・練習段階からマイクを使うと、ライブが成功しやすい
・譜面台に楽譜を置くことで、緊張をおさえることができる
・歌わない曲を作ったり、音色を変えたりすると飽きさせないライブができる
この記事が、ピアノ弾き語りを上達させる参考になれば嬉しいです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
